臨床医のプライマリ・ケア 周産期とプライマリ・ケア
母と子のきずなの形成—アタッチメントの発達の起源
小嶋 謙四郎
1
Kenshiro Kojima
1
1早稲田大学文学部心理学科
pp.366-369
発行日 1982年5月10日
Published Date 1982/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206614
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ある人間と他の特定の人間との問に形成される愛情のきずなをアタッチメントとよぶ。子どもと母親のアタッチメント関係は,子どもの,母親へのきずなの発達と,母親の,子どもへのきずなの形成の二つの側面をもっているが,両者は相互に補完しあっている。そこでは子どもの成熟の度合いや学習の進度が,母親の子どもへの働きかけの量や性質に影響を与え,また,子どもの自発的行動に対する母親の感度のよさや応答性が相互作用に効果をもたらし,発達とともに母子の相互作用は変容してゆく。一般に母子のアタッチメント関係は,子どもの,母親へのきずなの発達がほぼ実現した生後一年から一年半の間に達成する。
安定した母子アタッチメント関係は,子どものパーソナリティの正常で健康な発達の基礎であり,その安定したきずなが外界を知的に探索する安全基地として役立ち,安らぎの源泉として機能する。
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.