特集 入門! アタッチメントと小児期逆境体験を知る
アタッチメント障害・小児期逆境体験・トラウマ関連障害への対応~基本をおさえる
うたれてもしなやかに生きる―親子のレジリエンスを育むもの
黒木 俊秀
1
,
王 百慧
2
KUROKI Toshihide
1
,
WANG Baihui
2
1中村学園大学教育学部
2九州女子大学人間科学部
pp.892-894
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002472
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はじめに
レジリエンス(resilience)という用語は,ラテン語のresalire,resilio(反発する,跳ね返る)に由来している。この用語は,17世紀頃より材料工学の分野では「材料が弾性変形時にエネルギーを吸収し,荷重が除去された際にそのエネルギーを放出する能力」を指しており,19世紀には変形せずに応力(外力を加えられた物体の内部に生じる抵抗力)に耐えられる材料を説明する概念となった。20世紀半ば,レジリエンスという用語は,生態学やシステム理論において比喩的表現として用いられるとともに,逆境にある子どもの発達心理学研究の文脈にしばしば登場するようになった。現在では,この用語は精神医学や臨床心理学などの領域でも広く注目されるようになり,個人や家族,コミュニティ,社会などが苦境に直面した際の適応力や回復力の代名詞となっている。

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