巻頭カラー連載 A-LSD!病床からの誘惑・2
しなやかに見つめる
甲谷 匡賛
,
西川 勝
1
1大阪大学コミュニケーションデザイン・センター
pp.503
発行日 2007年6月1日
Published Date 2007/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101017
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- 文献概要
夜の病室は、昼間よりずっと窓の外が気になる。小さくて頼りない光が、ようやく姿を現してささやきはじめるからだ。やがて、隠されていた自分がほどけていく。「人生は、夜の数で数えるのだ」と、ある詩人は歌っていた。
窓枠に引っかかるようにして月が見える。遠くから、静かに、熱もなく、細い絹のような明かりが届けられる。気付けば、わたしが見つめられているのだ。
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