症例
運動時の発作的咳嗽を特徴とする運動誘発性喉頭閉塞症の2例
佐古 周平
1
,
鈴木 亮平
1
,
成瀨 隼人
1
,
持田 純
1
,
相良 長俊
1
,
勝沼 俊雄
1
SAKO Shuhei
1
,
SUZUKI Ryohei
1
,
NARUSE Hayato
1
,
MOCHIDA Jun
1
,
SAGARA Nagatoshi
1
,
KATSUNUMA Toshio
1
1東京慈恵会医科大学附属第三病院小児科
pp.831-836
発行日 2025年6月1日
Published Date 2025/6/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002456
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はじめに
運動誘発性喉頭閉塞症(exercised-induced laryngeal obstruction:EILO)は,ストレス,冷気,刺激物などを誘引として喉頭部の気流制限が発生し,咳嗽などの呼吸器症状を呈する誘発性喉頭閉塞症(inducible laryngeal obstruction:ILO)の一つである。運動時に急な咳嗽や吸気性喘鳴を呈し,運動を中断することで速やかに症状が改善することを特徴とする1)。ILOは以前まで声帯機能不全や機能的上気道閉塞など40以上の用語で表現されてきたが,混乱を避けるため2013年に欧州呼吸器学会など国際的呼吸器関連3学会によってILOと呼称することに統一された2)。これまでEILOは欧州を中心に研究が進められ,疫学調査の結果や運動誘発喘息(exercise-induced asthma:EIA)との類似点,および呼吸リハビリテーションの有用性などが報告されてきた1)が,わが国ではEILOとして報告された数も限られ3~9)(表),また,大規模な疫学調査も行われていないことから,実臨床においては診断にいたっていないEILO患者が存在していると推測される。

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