特集 ここまで来た! 新生児マススクリーニングと対象疾患の治療
これから対象となる可能性のある疾患
オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症
小林 弘典
1
KOBAYASHI Hironori
1
1島根大学医学部附属病院検査部
pp.1831-1834
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002171
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はじめに
2014年にタンデムマス・スクリーニングが全国実施され10年が経過している。わが国ではタンデムマス・スクリーニングは二次対象疾患を含めると22疾患を対象としている。尿素サイクル異常症では,シトルリン血症Ⅰ型とアルギニノコハク酸尿症が対象となっており,両者を足すと尿素サイクル異常症患者の約27%を占める(図1)1)。一方で,55%とわが国でもっとも高頻度な尿素サイクル異常症であるオルニチントランスカルバミラーゼ欠損症(OTCD)は対象疾患に含まれていない2)(図11))。これはタンデムマス・スクリーニングが世界的に広がりはじめた2000年代の技術ではOTCDの新生児マススクリーニング(NBS)は困難であったことが主な原因であった。しかし近年は,分析技術の進歩などによりOTCDをタンデムマス・スクリーニングで検査することが現実的になってきた。
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