特集 ここまで来た! 新生児マススクリーニングと対象疾患の治療
新しい対象疾患―再検査,精密検査,そして治療
先天性サイトメガロウイルス感染症
森岡 一朗
1
MORIOKA Ichiro
1
1日本大学医学部小児科学系小児科学分野
pp.1820-1823
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002169
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先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症とは
妊娠中にサイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)感染を起こすと,胎児感染にいたり,出生児は先天性CMV感染をひき起こすことがある。古くからTORCH症候群の一つとして知られている。先天性CMV感染症の一部は,出生時より後述する症状を有して出生し(症候性感染症),難聴,精神運動発達遅延,脳性麻痺,てんかん,知的障害などの重度の神経学的後遺症を高率に残す。一方,出生時に無症状(無症候性感染)であっても,数か月から数年経って遅発性に難聴,言語発達遅滞,自閉スペクトラム症などの神経発達症を発症することがある1,2)。わが国では,1/300人で先天性CMV感染が発生し,1/1000~1500人で症候性先天性CMV感染児が発症している。この頻度は,代表的な先天性内分泌疾患であるクレチン症1/3000人や先天性副腎過形成1/15000人に比べて高いことがわかる2)。
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