特集 ここまで来た! 新生児マススクリーニングと対象疾患の治療
以前からの対象疾患―再検査,精密検査,そして治療
先天性甲状腺機能低下症
高橋 郁子
1
TAKAHASHI Ikuko
1
1秋田大学大学院医学系研究科小児科学講座
pp.1793-1796
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002164
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
疾患の解説
1.疾患の概要
先天性甲状腺機能低下症(congenital hypothyroidism:CH)は,胎生期または周産期に生じた甲状腺の形態異常または機能異常による先天的な甲状腺ホルモン分泌不全の総称である。頻度は約3000出生に1人であり,新生児マススクリーニング(newborn screening:NBS)対象疾患のなかでもっとも高頻度な疾患である。甲状腺ホルモンは成長,発達に不可欠であり,未治療では高度な成長障害と知的障害が起こる。CHのNBSは日本では1979年に導入された。日齢4~6のろ紙血で甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone:TSH)を測定し,TSHの上昇した児を早期に精査することで重度の知的障害を残す症例は激減した。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.