特集 産婦人科医が知っておくべき新生児マススクリーニング
各論
5.先天性甲状腺機能低下症
鳴海 覚志
1
S. Narumi
1
1慶應義塾大学医学部小児科学教室(教授)
pp.693-698
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003014
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先天性甲状腺機能低下症(CH)の新生児マススクリーニングは1979年にわが国で導入され,重度知能障害を残す症例がほぼみられなくなるなど劇的な効果をもたらした。2024年現在,多くの自治体ではTSH測定による原発性先天性甲状腺機能低下症のスクリーニングを行っているが,一部の自治体では遊離サイロキシンを同時に測定することで,中枢性先天性甲状腺機能低下症についてもスクリーニングを行っている。比較的まれではあるがマススクリーニングをすり抜ける遅発発症型の先天性甲状腺機能低下症も存在する。1か月健診で体重増加不良,不活発,遷延性黄疸などを認める場合は,マススクリーニングで陰性判定でも先天性甲状腺機能低下症の可能性を除外せず,甲状腺機能を評価することが重要である。
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