特集 いまさら聞けない成長のキホン
各論
成長をめぐる諸問題 重症心身障害児の成長評価
永江 彰子
1
NAGAE Akiko
1
1びわこ学園医療福祉センター草津
pp.1705-1709
発行日 2024年11月1日
Published Date 2024/11/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002133
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はじめに
重症心身障害とは,重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態のことであり,これは医学的診断名ではなく,児童福祉法上の定義である。重症心身障害の状態にある子どものことを,重症心身障害児(重症児)とよび,医療的ケア実施の有無を問わない。一方,医療的ケア児とは,人工呼吸器や胃瘻などを使用し,痰の吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童のことであるが,令和4(2022)年度の厚生労働省データで約2万人と推定されている。双方の重複部分の人数概算より,重症児数は,全国で約23000人と推定することができる1)。小児科学では,身体の形や大きさなど形態的な変化を「成長(growth)」,機能的な変化を「発達(development)」,これらを合わせて「発育(growth and development)」と表す。重症児も「発育」しておのおのの「成熟(maturation)」を迎えるが,「成長」が時に「発達」を阻害することがあり得るため,常に両面から重症児の「発育」をサポートする必要がある。重症児の診療では,「成長」を標準に近づけるのではなく,適切な成長評価によって「成長」と「発達」の折り合いのつく治療法を提供しながら,重症児が自分の意思を発現できる状態を長く保てるような「成熟」を迎えることが重要だと考えており,その具体的方法を以下に示していく。
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