特集 思春期医療に向き合う~苦手意識からの脱却
各論
疾患 身体化された症状[身体症状症,機能性神経学的症状症(変換症),解離症群]への対応
柳生 一自
1
YAGYU Kazuyori
1
1北海道医療大学
pp.1363-1367
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001834
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はじめに
一般に小児科医をはじめとした身体科医師は,心因による症状に対して苦手感のある方が多いのではなかろうか。さらに言えば,できれば回避したいといった思いをもっている方もいるかもしれない。医師の使命は言うまでもなく,診断を行い治療方針を決め,そして治療方針に沿って治療を行うこと(組み立て)で,患者を病から救うことにある。しかし,時に心因などが背景にある身体症状に対する対応はこの「評価・診断を行い,治療方針を決め,それに沿って治療を行う」という医療で当たり前の治療の枠組みが使えないことがある。対面する症例は心因あるいは,より深いレベルでの解離によって,本来の要因となっている課題に直面化できないからこそ,身体の症状を呈している場合がある。このような場合には診断や評価を率直に伝えることが,患者あるいは家族が望まない形で回避していた問題との直面化につながる。こうした通常の医療における組み立てとの違いを意識することで身体化された症状への対応を考えてみたい。
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