Japanese
English
特集 精神疾患回復の時間経過を見通す
身体症状症は消えず,ただ身体症状になるのみ
Somatic Symptom Disorders Never Fade Away: They Just Become Somatic Symptoms
小林 聡幸
1
Toshiyuki Kobayashi
1
1自治医科大学精神医学講座
1Department of Psychiatry, Jichi Medical University, Tochigi, Japan
キーワード:
身体症状症
,
somatic symptom disorder
,
疼痛性障害
,
pain disorder
,
うつの代理症
,
depressive equivalents
,
パーソナリティ症
,
personality disorders
,
知的発達症
,
intellectual developmental disorder
Keyword:
身体症状症
,
somatic symptom disorder
,
疼痛性障害
,
pain disorder
,
うつの代理症
,
depressive equivalents
,
パーソナリティ症
,
personality disorders
,
知的発達症
,
intellectual developmental disorder
pp.1514-1520
発行日 2023年11月15日
Published Date 2023/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207122
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抄録
DSM-5の身体症状症は,身体症状があり,症状についての過剰な思考,強い不安,それに費やされる過度の時間と労力があるという診断基準であり,その裏面には思考・感情・行動に関わる多様な基礎的病態があると思われる。身体症状症の回復の時間的な見通しはただこの基礎的な病態に依存するであろう。早期の回復が望めるのはうつ病を背景にする症例であり,これは抗うつ薬に対するうつ病の治療反応と同等のタイムスパンで改善する。他方,パーソナリティの問題や発達の問題を抱えており,容易に改善しえない環境状況に対して適応不全を呈している場合には難治である。それでも年余の経過で身体症状に対する過剰な思考・感情・行動がなくなれば,たとえ身体症状は残存しても,もはやそれは身体症状症ではない。
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