特集 酸塩基平衡異常―基本と管理
各論 代謝性アシドーシスの病態と治療
副腎不全
佐野 伸一朗
1
SANO Shinichiro
1
1静岡県立こども病院糖尿病・代謝内科
pp.1070-1074
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001755
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はじめに
副腎皮質からは,主にグルコルチコイド(コルチゾール)とミネラルコルチコイド(アルドステロン)が分泌されている。コルチゾール分泌は,視床下部(hypothalamus)-下垂体(pituitary)-副腎(adrenal)系(HPA系)を介して調節されており,視床下部より副腎皮質刺激ホルモン(コルチコトロピン)放出ホルモン(CRH),下垂体より副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が分泌される。コルチゾールは視床下部下垂体へのネガティブフィードバック作用を有しておりHPA系を調整している。副腎不全は,絶対的あるいは相対的なコルチゾール欠乏により生じる病態である。したがって副腎不全は,HPA系のいずれかの障害によって起こりうる1,2)。本症は,急性あるいは慢性の経過で発症するが,とくに急性副腎不全は対応が遅れれば致死的な結果を招くこともあるため迅速な治療が必要である3)。
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