増刊号 内科エマージェンシーと救急手技
疾患からみた内科エマージェンシー
内分泌・代謝疾患
91.急性副腎不全
関原 久彦
1
1東京大学医学部・第3内科
pp.1974-1975
発行日 1990年9月30日
Published Date 1990/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900508
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ポイント
1)正常のヒト副腎皮質からは,1日約20mgの生命維持に必要な糖質コルチコイドであるコルチゾールが分泌されている.副腎皮質からのコルチゾールの分泌は,生体がストレスにさらされると,必要に応じて1日300mgまで増加する.
2)副腎皮質からのコルチゾールの分泌が急激に低下したり,ストレスに対応してコルチゾールの分泌が増加できなかったりすると,糖質コルチコイドの不足状態となり,急性副腎不全の状態に陥る.
3)アジソン病の症例で,糖質コルチコイドの補充療法を行っていても,また,ステロイド療法を行っている症例でも,ストレスにさらされた際,内服しているステロイド薬を増量しない場合には,糖質コルチコイドの不足状態となり,急性副腎不全の状態に陥る.
4)急性副腎不全に陥ると,患者は,高熱,悪心,嘔吐,腹痛などを訴え,ショック状態となる.
5)救急処置として,ただちに,十分量のハイドロコルチゾンの静脈内投与を行う.さらに,十分量の補液,ブドウ糖の補給を行う.
6)適切な処置を行えば,救命可能である.
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