特集 小児の事故と予防
事故の現状と予防対策
溺水事故の現状と予防策
笹岡 悠太
1
SASAOKA Yuta
1
1市立函館病院小児科
pp.746-750
発行日 2024年5月1日
Published Date 2024/5/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001663
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに1~3)
溺水とは,液体への浸漬(傷病者の気道を含む身体全体が水没している状態)あるいは浸水(傷病者の身体のうち少なくとも気道入口部が液体に覆われてしまった状態)の結果,液体が気道内に吸引されて窒息をきたし,呼吸機能障害へと進む過程と定義されている。溺水の基本的な病態は,気道への液体の流入により喉頭けいれんが誘発され窒息,低酸素血症がひき起こされることにある。流入した液体に肺内サーファクタントが不活化されることによる肺コンプライアンスの低下や,窒息後の気道開放による陰圧性肺水腫,低酸素性脳症など,蘇生に成功しても集中治療管理が必要な重大な損傷を負う可能性がある。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.