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特集 気候変動と医療
熱中症の現状および将来とその適応策
Current and future heatstroke and its adaptation measures
岡 和孝
1
Kazutaka OKA
1
1国立環境研究所気候変動適応センター気候変動影響観測研究室室長
キーワード:
気候変動
,
ヒートアイランド
,
熱中症
,
適応策
Keyword:
気候変動
,
ヒートアイランド
,
熱中症
,
適応策
pp.211-216
発行日 2024年7月20日
Published Date 2024/7/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290030211
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夏期(6~8月)平均気温をみると,わが国では100年あたり1.25℃の割合で上昇している.なかでも2023年は世界で最も暑い年として記録され,わが国も例外ではなかった.このような夏期の気温上昇に伴い,わが国では健康被害が深刻となっており,そのひとつに熱中症をあげることができる.具体的には,熱中症救急搬送数が毎年65,000件以上,また死亡者数が1,000人以上発生している.年齢構成をみると,熱中症救急搬送数の約55%を,死亡者の約85%を高齢者が占める.わが国では超高齢社会を迎えており,今後,高齢者の熱中症による健康被害の増大が懸念されるとともに,気候変動による気温上昇がその増大に拍車を掛けることが危惧される.熱中症リスクの低減に向けて,熱中症特別警戒アラートの導入や指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)の整備,地域気候変動適応計画の策定など,さまざまな適応策に関する取り組みが政府や地方公共団体により実施されている.また,熱中症リスク低減に向けた研究も精力的に実施されており,熱中症に対するレジリエンス向上に貢献することが期待される.
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