特集 小児科医が知っておくべき筋疾患診療:遺伝学的理解と治療の最新事情
代表的筋疾患
ミトコンドリア病は多様性の疾患―病因,病態,治療の現在
後藤 雄一
1,2
GOTO Yu-ichi
1,2
1国立精神・神経医療研究センターメディカル・ゲノムセンター
2国立国際医療研究センターNCBN中央バイオバンク
pp.1953-1957
発行日 2023年12月1日
Published Date 2023/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001434
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
ミトコンドリア病の特徴は「多様性」である。遺伝学的には,核DNA上の遺伝子(300個以上)とミトコンドリアDNA(mtDNA)が原因となる。よって遺伝形式は,メンデル遺伝,母系遺伝,突然変異例など多様である。病態としては,エネルギー産生低下とそれ以外の多様なミトコンドリア機能が障害される。臨床的には,広い発症年齢,ほぼすべての臓器の症状,急性・慢性進行性や症状が改善する臨床経過などがあり,きわめて多様な臨床像を呈する。このようなミトコンドリア病を理解し診療を行うには,遺伝学・病理学・生化学を基盤にした診断方法を知り,眼前の患者で起きている病態をできる限り論理的に洞察し,それら多様な症状に対する対処法を実践することが必要になる。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.