特集 小児科医が知っておくべき筋疾患診療:遺伝学的理解と治療の最新事情
代表的筋疾患
福山型先天性筋ジストロフィーとα-ジストログリカノパチー
戸田 達史
1
TODA Tatsushi
1
1東京大学大学院医学系研究科神経内科学
pp.1909-1915
発行日 2023年12月1日
Published Date 2023/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001425
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福山型先天性筋ジストロフィーの特徴
福山型先天性筋ジストロフィー(FCMD)は,1960年に福山らにより発見された常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)疾患である。わが国の小児期筋ジストロフィーではデュシャンヌ型の次に多く,日本人の約90人に1人が保因者とされる。日本に1000~2000人くらいの患者が存在すると推定され,日本人特有の疾患とされていたが,近年海外からの報告が相次いでいる。本症は重度の筋ジストロフィー病変とともに,多小脳回を基本とする高度の脳奇形が共存し,さらに最近は近視,白内障,視神経低形成,網膜剝離などの眼症状も注目されている。すなわち,本症は遺伝子異常により骨格筋-眼-脳を中心に侵す一系統疾患である1)。
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