特集 小児科医が知っておくべき筋疾患診療:遺伝学的理解と治療の最新事情
総論1:一般小児科医が理解しておくべき筋疾患診療の全体像
筋疾患を疑う患者さんが来たら何を行うか?
石垣 景子
1
ISHIGAKI Keiko
1
1東京女子医科大学医学部小児科
pp.1861-1867
発行日 2023年12月1日
Published Date 2023/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001416
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はじめに
これまで治療法がなかった神経筋疾患において,近年治療開発が活発に行われており,とくに早期治療例において高い有効性が報告されている。新生児マススクリーニングを含めた早期診断の手段に関する議論が活発化しているが,まだ体制は十分ではない。一方,日常診療において,フロッピーインファント,運動発達遅滞や高クレアチンキナーゼ(CK)血症などの神経筋疾患が疑われる所見に遭遇しうる。治療法がなかった時代には,診断を急ぐ必要はなく,また確定診断のために筋生検が主流であったため,診断までのタイムラグが発生した。しかし現在では,酵素活性測定依頼の簡便化,商業ベースで遺伝学的検査が実施可能であることや骨格筋画像を用いることで,非専門施設でも診断が可能である。とくに治療法のある疾患では診断までのタイムラグは望ましくなく,その必要性や診断手段を小児科医は理解する必要がある。
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