特集 小児科医が知っておくべき筋疾患診療:遺伝学的理解と治療の最新事情
総論1:一般小児科医が理解しておくべき筋疾患診療の全体像
筋疾患の症候学―問診・診察のコツ
石山 昭彦
1
ISHIYAMA Akihiko
1
1東京都立神経病院神経小児科
pp.1855-1860
発行日 2023年12月1日
Published Date 2023/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001415
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はじめに
筋疾患での中心となる症状は「筋力」低下であり,年齢や性別にかかわらず筋疾患を疑った際には「筋力」を評価することは重要である。ただし筋力(低下の)評価は小児期,とくに小学校中・高学年以上であれば成人同様に徒手筋力テストの評価も可能かもしれないが,乳幼児期の筋力の評価では小児科での診察として “工夫” も必要となる。受診のきっかけは,運動発達の遅れとして気づかれ,本来なら歩行を獲得している年齢でも歩けていない,立つことができない,などの発達の遅れの相談から受診されることもある。このような発達の遅れには,もちろん筋力低下が本態となる場合もあるだろうが,一方で筋力は保たれているのにもかかわらず,筋緊張低下が原因となっている場合もある。筋疾患でも筋緊張低下を伴いやすいが筋緊張低下は筋疾患だけではなく中枢神経系疾患でもみられ,これを筋力低下と診誤る例は意外にある。「筋力低下」,「筋緊張低下」を区別して診察を進めることは診断の初期段階で重要である。
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