特集 知っておきたい周産期・新生児医療up to date
トピックス
乳酸菌と早産予防
米田 哲
1
,
齋藤 滋
1
YONEDA Satoshi
1
,
SAITO Shigeru
1
1富山大学医学部産科婦人科
pp.1803-1806
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001396
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はじめに
自然早産の原因は多岐にわたるものの,その主要なメカニズムの一つとして,細菌性腟症,子宮頸管炎,絨毛膜羊膜炎という上行性ルートがあると考えらえられている。腟内には,通常,腟内の恒常性を保つ乳酸菌(Lactobacillus属)が存在し,細菌性腟症の発症を予防している。細菌性腟症を認める場合には,自然早産のリスクが高まるとする報告は多い1)。また,セミアログラフト(半異物:半分が自分で,残り半分がパートナー由来)な胎児が子宮内で発育するためには,免疫学的寛容が必須であるが,最近の研究から腸内の酪酸菌(Clostridium属)が,この免疫寛容にかかわる制御性T細胞を誘導することで妊娠維持に大きく関与し,これが少ない場合には自然早産のリスクとなるとの報告もある2)。これら乳酸菌と酪酸菌について,自然早産予防という観点からそれらの役割につき概説したい。ただし,現時点では,プロバオイティクスによる自然早産予防法は,その投与時期,投与するプロバイオティクスの種類,投与する対象など,確立してはいない。
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