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ヒト受精卵のゲノム編集と生殖利用
石井 哲也
1
ISHII Tetsuya
1
1北海道大学安全衛生本部
pp.1807-1810
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001398
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はじめに
ゲノム編集は,特定のDNA塩基配列に結合する酵素を細胞に直接導入することで,多様な遺伝子改変を可能にした技術である。ゲノム編集はさまざまな種や細胞に適用でき,もっとも普及しているclustered regularly interspaced short palindromic repeats(CRISPR)/Cas9はノーベル化学賞を受賞した。2015年,CRISPR/Cas9を用いてヒト受精卵における遺伝子改変が実証されると,同様の続報が発表され,ついに,2018年,中国の研究者が遺伝子改変した胚の子宮移植で双子が生誕したと報告した1)。子にHIV感染抵抗性を付与するためCCR5遺伝子を意図的に変異させた生殖研究に対して,誕生した双子の健康などを懸念する声が世界的に上がった2)。実際,ヒト受精卵では意図しない遺伝子改変や染色体異常をひき起こすオフターゲット効果のリスクが無視できないことが判明している3,4)。
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