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1 疾患概念
摂食障害は,成人領域では食行動異常と体重増加恐怖にやせを伴う神経性やせ症(anorexia nervosa:AN)と体重は正常域の神経性過食症(bulimia nervosa:BN)が中心概念とされている。しかし,小児科領域では体重増加恐怖や体型認知のゆがみを認めない回避・制限性食物摂取症(avoidant/restrictive food intake disorder:ARFID)の病型が約4割を占めるため,初診時病型はほとんどがANかARFIDである。日本における摂食障害の有病率は2002年時点でAN 0.43%,BN 2.32%,特定不能の摂食障害9.99%とされ,1980年代からすべての病型において有病率が増加している1)。15歳未満の小児摂食障害の有病率は明確にはなっていないが,成人同様に患者数が増加していると考えられている。表は摂食障害の主な分類を示したものになる。子どもの摂食障害では低栄養に伴う骨粗鬆や低身長,初経発来の遅延などの身体的合併症以外に精神症状の併存を認めることもあり,社会生活や家族機能に大きな影響をもたらす。そのため子どもの摂食障害ではとくに早期発見と早期対応が重要である。また,子どもの摂食障害では背景に自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)の特性を併せもつ場合がまれではない。日本ではANにおけるASDの併存は約10%と考えられている2)。ASDを併存する場合には,発達特性をよく理解したうえで食行動以外に患者が普段抱えている困難さ,たとえば対人関係構築の困難さ,こだわりの強さ・感覚過敏,学習の遅れなどの可能性に焦点を当て,こだわりに合わせた環境調整や社会スキルへのアプローチなどを介して食事への強迫的な行動を減じていくような対応も必要となる。
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