特集 小児の集中治療の実践―躬行実践―
総論
基本項目 小児の集中治療後症候群(PICS-p)
野沢 永貴
1
,
松井 彦郎
1
NOZAWA Hisataka
1
,
MATSUI Hikoro
1
1東京大学医学部附属病院小児科
pp.1265-1273
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001037
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はじめに
小児集中治療医学の目覚ましい進歩により重症患児の生存率は著しく向上している一方,近年では,小児集中治療室(PICU)を生存退室した患児の長期予後の改善が次なる課題として注目されている。すでに成人領域では,ICUを退室した患者が社会復帰をするにあたりさまざまな障碍を抱えているということが明らかにされてきた。これらの障碍は総称して “集中治療後症候群(post-intensive care syndrome:PICS)” とよばれ,2010年代にその概念と枠組みが構築されて以降,現在にいたるまで盛んに議論や研究が行われてきた。小児領域でも成人に追従するかたちで,“小児の集中治療後症候群(post-intensive care syndrome pediatrics:PICS-p)” の枠組みが2018年に提唱され,今後,集中治療を受けた患児の長期予後に関する知見が蓄積されることが期待されている1)。
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