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急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は死亡率が高いだけではなく,その原疾患や併存疾患による侵襲,長期の人工呼吸器管理,治療薬による副作用などで,たとえ生存したとしても,その後の患者の生活の質(QOL)が著しく低下する可能性がある代表的な疾患の1つである。本稿では,ARDS患者が急性期を乗り越えたあとの呼吸機能,運動機能,認知機能,精神状態,社会復帰状況,家族関係などに焦点を当てて解説をしていく。また,急性期の治療とARDS患者におけるPICSと,どのような関係にあるかについて考察を行う。
Main points
●ARDS患者は救命されたとしても,その後にさまざまな運動機能障害,認知機能障害,精神障害などを合併することにより,著しくQOLが低下していることが多い。
●筋弛緩薬をはじめとした薬物,輸液管理,リハビリテーションなど,急性期の治療がARDS患者のPICSの発生率に影響を与える可能性がある。
●ARDSの影響は患者だけではなく,その家族のQOLにも及ぶことが知られており,急性期における医療従事者と家族のコミュニケーションが重要である。
●急性期は患者を生存させることが最優先であることは言うまでもないが,救命後の患者とその家族のQOLについて急性期の時点から考えながら治療にあたることが重要である。
Patients who survive acute respiratory distress syndrome (ARDS) often suffer from chronic illnesses, including postintensive care syndrome (PICS) including physical impairment (ICU-acquired weakness), cognitive dysfunction and mental illness, being a potential cause of social dysfunction and impairment of quality of daily life. This article reviews the pathophysiology and epidemiology of PICS in ARDS survivors from the respiratory, physical, mental, social, and familial points of view. This article also discusses optimal management of patients with ARDS not only to improve survival but also to minimize the development of PICS.
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