特集 小児の集中治療の実践―躬行実践―
総論
基本項目 PICUでのチーム医療
上村 義季
1
,
松本 正太朗
1
UEMURA Yoshiki
1
,
MATSUMOTO Shotaro
1
1国立成育医療研究センター手術・集中治療部集中治療科
pp.1261-1264
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001036
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
日本集中治療医学会と日本小児科学会が合同で策定した「小児集中治療部設置のための指針」には,「PICUとは,一時的に生命が危険な状態にある,またはそのような状態が切迫している小児患者に対して,その原因,病態,基礎疾患を問わず,病院の総力を挙げて治療する場である」,と記載されている1)。医療は日々高度化し,1人の主治医や執刀医がすべての状況下で患者に対して最善の医療を提供すること,またそれを担保し続けることは困難となってきており,重篤な小児に対しては,チームによって診療が行われることが望ましい。Pronovostらの報告によれば,ICUにおいて患者の予後改善に大きく影響するのは,専門トレーニングを受けた医師やコメディカルがその診療に深く関与することが重要であるとされており2),とくに小児患者や患者家族に多方面からの心理社会的支援が必要となるPICUにおいては,今後ますますチーム医療の重要性が高まっていくことが予想される。小児患者や患者家族への支援には多職種の有機的なかかわりが必要であり,役割の明確な線引きを決めることは難しいが,本稿では,PICUにかかわる部門(看護師,理学療法士,薬剤師,ソーシャルワーカー,心理士,緩和ケアチーム,child life specialist)に関する当院での主な活動を概説することで,PICUに必要とされるチーム医療のあり方について考察する。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.