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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅶ.血液・腫瘍性疾患
26.胚細胞腫瘍
Germ cell tumor
佐藤 雄也
1
SATO Yuya
1
1獨協医科大学小児科学
pp.967-971
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000684
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1 基本病因,発症機序
胚細胞腫瘍は,原始生殖細胞(primordial germ cell)が成熟した胚細胞になるまでの過程に発生した腫瘍の総称であり,多分化能を有する細胞から発生するために腫瘍は多彩な表現型を示す。発生母地となる原始生殖細胞は胎生4週頃より卵黄囊に発生し,胎生6週頃よりdorsal mesenteryを経て生殖隆起に到達する。この過程で,性腺のみならず,遊走迷入したあらゆる部位に発生する。よって,①卵巣,精巣に発症する性腺胚細胞腫瘍と,②縦隔,後腹膜,仙尾部などの身体正中部に発生する性腺外胚細胞腫瘍,に分類される1)。また,胚細胞腫瘍は良性腫瘍から,境界悪性腫瘍,悪性腫瘍まで,悪性度もさまざまである。小児では年間120~150例ほどの発生があり,そのうち約1~2割が悪性腫瘍と考えられている。縦隔や胃は男児に多く,後腹膜や仙尾部は女児に多い傾向がある。発生時期は幼児期と思春期に発症のピークがある1~3)。Klinefelter症候群,アンドロゲン不応症など性腺の発育障害を伴うこれらの疾患では,高率に胚細胞腫瘍を合併することが知られている4)。
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