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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅵ.発達障害,心身症,精神疾患
21.いじめ
Bullying
石谷 暢男
1
ISHITANI Nobuo
1
1石谷小児科医院
pp.797-803
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000654
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はじめに(表1)
いじめとは,「単独または複数の特定人に対して,身体に対する物理的攻撃または言動による脅し,嫌がらせ,無視等の心理的圧迫を反復継続して与えることにより苦痛を与えること」と警察庁少年保安課は定義し1),「同一集団内の相互作用課程において優位に立つ一方が,意識的に,あるいは集合的に他方に対して精神的・身体的苦痛を与えること」と森田は定義している2)。すなわち,いじめとは「一方が一方に心身の苦痛を与える行為全般」と考えられる。また,いじめ防止対策推進法第二条(平成25年6月21日成立,6月28日公布,9月28日施行)では,いじめとは,「児童等に対して,当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)であって,当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」と定義している。いじめは,被害者の自己肯定感や自尊感情を毀損し,精神障害をひき起こし,時には自殺の原因ともなる。したがって,社会全体で予防と早期発見に努めなければならない。保育園,幼稚園,学校,職場,スポーツ界,災害時など,さまざまな状況や境遇で発生するが,現在,いじめ全体を包括する施策はない。年齢的に児童・生徒におけるいじめと成人における職場でのいじめに分けられるが,本稿では,児童・生徒におけるいじめを中心に取り上げる。
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