Japanese
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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅴ.骨・運動器疾患
15.Klippel-Feil症候群
Klippel-Feil syndrome
古矢 丈雄
1
,
山崎 正志
2
,
大鳥 精司
1
FURUYA Takeo
1
,
YAMAZAKI Masashi
2
,
OHTORI Seiji
1
1千葉大学大学院医学研究院整形外科学
2筑波大学医学医療系整形外科
pp.654-659
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000627
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1 基本病因,発症機序
本症候群はMaurice KlippelとAndré Feilが1912年に報告した脊椎欠損を有する一剖検例1)に由来する。剖検例の特徴から①短頸,②低位毛髪線,③頸部可動域制限を3徴とする先天性頸椎欠損(癒合)例をKlippel-Feil症候群と呼称するようになった。そののち,本症候群における併発奇形が多数報告された。癒合椎の発生病因は胎生期(3~7週)における硬節の分節化の過程,すなわち椎体終板形成期から椎間円板形成期における異常といわれている。癒合椎は「胎生期における頸椎を含む脊椎の分節化障害による奇形」である。多くの合併・併発奇形も同時期の発生過程の異常に由来すると考えられ,胎生6週前後の鎖骨下動脈・椎骨動脈系の血流減少が原因とする説がある。現在ではKlippel-Feil症候群は,前述の3徴,癒合椎の形態の違いおよびほかの併発奇形の有無を問わず「先天性頸椎癒合症」全般を指す,という理解が一般的である。
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