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I.はじめに
KlipPel-Feil症候群は,先天性頸椎奇形を主要病変とする,まれな疾患であり,1912年に,はじめてKlippelおよびFeil1)が首の部分がきわめて短かく,胴よりただちに頭部にうつつている46歳の男子を剖検して,詳細な報告を行なつた。
Feil23)は,本症候群の特徴的な病像として,解剖学的には,
1.頸椎の圧縮,
2.頸椎の骨癒合,あるいは数的変異,または,頸部脊椎披裂を有すること,
3.胸廓が上昇して頸廓を作ること,の3つを挙げ,さらに臨床的には,
1.首の短かいこと,
2.後頭部の頭髪のはえぎわの低いこと,
3.頭部運動,とくに側方運動の制限されること。その際に疼痛をともなわないこと,の3つを挙げている。
元来Klippel-Feil症候群は,主として,整形外科領域で関心をもたれていたが,1953年に頸椎の障害に由来している眩暈についてMaspetiolら2)が報告していらい,神経耳科領域においても注目されるようになつた。
Brocher3)は眼振をともなつた本症候群を報告し,さらに,Buchert4)は耳鼻咽喉科領域におけるKlippel-Fei1症候群の意義を総説した。しかしながら,本症候群における神経耳科学的所見の詳細な報告はほとんどみられず,本邦においては,生駒ら5)の報告をみるだけである。
今回,私は,メマイをともなつたKlippe1-Feil症候群の4例を経験したので,その神経耳科学的所見を中心に概要を報告し,若干の考察を加えた。
The author reports 4 cases of Klippel-Feil syndrome. This disease was originally reported in 1912, by Klippel and Feil with their experience of performing an autopsy on a man, aged 46, who showed abscence of the neck ; where the head was directly attached to the thorax.
Fundamentally, Klippel-Feil syndrome should belong to the field of orthopedic surgery, but in 1953, Mespetiol reported a case of vertigo that appeared to have been derived from the disturbances of the cervical spine. Since then this disease has been introduced into the field of neurological-otolaryngology.
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