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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅲ.神経疾患
20.急性小児片麻痺
Acute infantile hemiplegia
菊池 健二郎
1
,
浜野 晋一郎
1
KIKUCHI Kenjiro
1
,
HAMANO Shinichiro
1
1埼玉県立小児医療センター神経科
pp.340-343
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000570
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1 基本病因,発症機序
急性小児片麻痺は,1897年にFreudが「遺伝的素因のない生来健康な生後数カ月~3歳の小児において突然片麻痺を呈し,初期症状は発熱やけいれん性発作,嘔吐,失語などの言語障害,意識障害を認め,そののち,てんかん発作を認める。病因は不明だが,感染症と同時に起こる」と記載したとされ,副鼻腔炎,乳様突起炎などの局所感染症に伴うことが報告されていた1)。そののち,脳病理では片側大脳の萎縮や囊胞性変化を,気脳造影図 (air encephalogram)では側脳室拡大や脳溝の開大を,動脈造影では脳動脈の狭小化を認めたとする症例報告がされ,脳血管障害の関与が示唆された1~4)。そしてGastautらにより,片麻痺後にてんかんを発症するhemiconvulsion-hemiplegia-epilepsy症候群(HHE症候群)が提唱された5)。Aicardiらは,けいれん性発作の先行する症例は3歳未満の低年齢発症で,臨床経過はHHE症候群に類似すること,また,けいれん発作の先行しない症例は発症年齢がさまざまで,脳血管の異常を認め,遠隔期のてんかん発症は少ないことを報告した6)。近年,画像診断技術や遺伝学的検査技術の進歩により,鑑別すべき原因疾患が多彩であることがわかってきた。原因疾患を大別すると,①急性脳炎脳症型,②脳血管障害型,③その他,に分類される(表)。
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