Japanese
English
増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅲ.神経疾患
8.硬膜下水腫
Subdural effusion
宮川 正
1
MIYAGAWA Tadashi
1
1松戸市立総合医療センター小児脳神経外科
pp.276-280
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000558
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1 基本病因,発症機序
新生児や乳幼児では,さまざまな中枢神経系疾患,あるいはそのほかの疾患が原因で,経過中にいわゆる硬膜下液貯留(subdural fluid collection:SFC)という現象が起こることがある。SFCとは,硬膜とくも膜の間に液体が貯留した状態を指し,単一の疾患ではなく外傷,水頭症,髄膜炎,代謝性疾患など多種の原因によりひき起こされる一つの病的な状態像と解釈すべきである1)。外傷によるものをsubdural hematoma,炎症によるものをsubdural effusion,血液を含まず新生膜のないものをsubdural hygromaとよぶこともあるが,乳幼児ではこれらの区別は必ずしも明確ではなく,時期により貯留液の内容や,被膜形成が変化することが多いため,総称してSFCとよばれている。硬膜下水腫(subdural effusion)と硬膜下液体貯留(subdural fluid collection)を同義語として使用している場合もある1)。
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