Japanese
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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅲ.神経疾患
7.くも膜囊胞
Arachnoid cyst
稲垣 隆介
1
INGAKI Takayuki
1
1茨城県立こども病院小児脳神経外科
pp.270-275
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000557
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1 基本病因,発症機序
脳,脊髄の周囲には脳軟膜・くも膜・硬膜があるが,このうちのくも膜が囊胞状となった状態をくも膜囊胞という。先天的なものと,外傷などの後にできる二次性のものがある。先天的なものは胎生期にくも膜が形成されるときに袋状となり,その一部がone way valve状となるためと考えられている。なぜ,one way valve状となるかはわかっていない。囊胞内には脳脊髄液が貯まっているが,やや蛋白濃度が高い場合があり,そのことから髄液が囊胞内でトラップされるメカニズムが囊胞拡大に関与していると考えられる。一般的には小児期に徐々に拡大する症例が多く,大人になってから大きくなる症例は少ないと考えられている。
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