Japanese
English
特集 脊髄囊胞性疾患に対する外科治療
脊髄くも膜囊胞
Spinal Intradural Arachnoid Cyst
山口 智
1
,
武田 正明
1
,
栗栖 薫
1
Satoshi YAMAGUCHI
1
,
Masaaki TAKEDA
1
,
Kaoru KURISU
1
1広島大学大学院医歯薬保健学研究院脳神経外科学
1Department of Neurosurgery, Hiroshima University Graduate School of Biomedical and Health Sciences
キーワード:
くも膜囊胞(arachnoid cyst)
,
背側性くも膜隔壁(dorsal arachnoid web)
,
色素注入法(dye injection technique)
Keyword:
くも膜囊胞(arachnoid cyst)
,
背側性くも膜隔壁(dorsal arachnoid web)
,
色素注入法(dye injection technique)
pp.864-869
発行日 2015年10月25日
Published Date 2015/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200223
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はじめに
脊髄くも膜囊胞は,その局在(硬膜内か硬膜外か),囊胞内神経組織の有無に基づいて3型に分類したNabors分類が広く受け入れられている4).このNabors分類によると,脊髄硬膜内くも膜囊胞は,type Ⅲ spinal intradural meningeal cyst(“intradural arachnoid cyst”)に分類される.また,原著によれば,「spinal meningeal cystは,脊髄髄膜の憩室であるが,命名法の混乱を避けるために,これらの憩室をcyst(囊胞)と呼ぶことにする」とある4).つまり,脊髄くも膜囊胞は,必ずしも全周が髄膜で取り囲まれた真の囊胞構造でなくとも,くも膜の隔壁病変や,憩室状病変であってもtype Ⅲ spinal intradural meningeal cystに含まれると解釈できる.一方,近年では脊髄背側の特発性隔壁状くも膜病変をdorsal arachnoid web(DAW)として独立疾患のように報告するものがみかけられる.しかし,DAW自体がくも膜囊胞の不全型である可能性も指摘されており5),おそらく過去の脊髄くも膜囊胞のシリーズにもDAWが含まれていた可能性が高い6,7).
本稿では,Naborsのtype Ⅰ〜Ⅱに該当する硬膜外くも膜囊胞についての記載は他稿に譲り,DAWや局所性の特発性癒着性くも膜炎も含めた,局所性くも膜肥厚性病変を一括して,くも膜囊胞として扱い,診断や治療の問題点について検討する.
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