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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅱ.先天代謝異常
15.ケトン体代謝異常症
Inborn errors of ketone body metabolism
笹井 英雄
1,2
SASAI Hideo
1,2
1岐阜大学大学院医学系研究科小児科学
2かずさDNA研究所ゲノム事業推進部
pp.112-118
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000529
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1 基本病因,発症機序
脂肪酸β酸化(それにより生成されるアセチル-CoA)からの最終産物は,ケトン体であり,その産生や利用の障害に起因する疾患群をケトン体代謝異常症と総称する1)。ケトン体は,アセトン・アセト酢酸・3-ヒドロキシ酪酸の三者を指す。ただし,アセトンは呼気へ揮発されるため,体内での生理活性を持つ後二者が代謝的には重要である。このアセト酢酸と3-ヒドロキシ酪酸を足したものを血中総ケトン体(total Ketone body:TKB)と称し,ケトン体分画の検査項目で測定可能である。ともに強い酸であり,ケトン体利用障害などで血中に蓄積するとアシドーシスをきたす。一方で,ケトン体は飢餓時にはグルコースをセーブする重要な代替エネルギー源としての役割を持っているため,ケトン体産生障害も問題となる。
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