症例
鉄製剤と茵ちん蒿湯の併用により乳児の歯牙着色を生じた1症例
佐々木 知美
1
,
池内 忠宏
1
,
兼重 晋
1
,
神村 英利
1,2
SASAKI Satomi
1
,
IKEUCHI Tadahiro
1
,
KANESHIGE Susumu
1
,
KAMIMURA Hidetoshi
1,2
1福岡大学病院薬剤部
2福岡大学薬学部
pp.2023-2027
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000505
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はじめに
鉄欠乏性貧血は,乳幼児にもっとも多い貧血で,未熟児出生,体重増加不良や母乳栄養などがリスク要因とされている1)。このため,鉄欠乏性貧血の乳幼児は鉄剤を服用する頻度が非常に高い。茵ちん蒿湯(インチンコウトウ)は古くから利胆薬として広く胆道系の疾患に用いられ2),近年は小児外科領域において胆道閉塞症術後に投与したとの報告3)が増加している。今回,筆者らは鉄剤と茵ちん蒿湯の併用により歯牙着色が生じた症例を経験した。筆者らが知る限り,茵ちん蒿湯の服用後に歯牙着色をきたした症例は報告されていない。また,本症例は漢方薬に含まれるタンニンと鉄剤の相互作用が疑われる事例のため報告する。なお,患児の個人情報を保護したうえで,本症例報告を行うことについて,保護者(母親)の同意を得ている。
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