特集 外来でよく見る子どもの皮膚疾患―臨床写真で覚える!
蕁麻疹
物理性蕁麻疹
秀 道広
1
HIDE Michihiro
1
1広島市民病院皮膚科
pp.1285-1290
発行日 2022年8月1日
Published Date 2022/8/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000321
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はじめに
物理性蕁麻疹は,皮膚表面の機械的擦過,寒冷曝露,日光曝露,温熱負荷,圧迫,水との接触により膨疹が出現する蕁麻疹の一型である。物理性蕁麻疹は蕁麻疹のなかで特発性の蕁麻疹についで多く,刺激の種類によりさらに細かく病型が分けられている。なお,皮膚に振動が加わることで浮腫が起こる振動血管性浮腫は,わが国のガイドラインでは刺激誘発型の血管性浮腫に分類されるが,国際ガイドラインでは蕁麻疹と血管性浮腫の別なく刺激誘発型の蕁麻疹として分類されている。治療の基本は膨疹を誘発する刺激を回避することにあるが,それらの刺激は完全に回避することは困難なことが多く,原因不明の特発性の蕁麻疹よりも大きくQOLが損なわれることが多い。また,薬物治療はある程度症状誘発閾値を上昇させる効果はあるが,多くの特発性の蕁麻疹のように全く無症状にすることはできないことが多い。そのため,薬物治療の目標は当面の生活に支障のない状態を達成することとし,長期的には過敏性自体が軽減~消失することを期待する。なお,全身が寒冷に曝されてかゆみのない膨疹が出現する場合は,まれながら家族性寒冷誘発自己炎症性症候群(familial cold autoinflammatory syndrome:FACS)1)を鑑別する必要がある。
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