特集 発達障害への多様な支援~あれが知りたい・これも知りたい~
最近のトピックス
自閉スペクトラム症者への最新の科学技術を用いた治療
熊﨑 博一
1
KUMAZAKI Hirokazu
1
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科未来メンタルヘルス学分野
pp.1093-1097
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000267
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はじめに
自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)は,社会的コミュニケーションや社会的相互作用に障害があり,反復的な行動,興味,活動のパターンを特徴とする神経発達障害である。ASDの治療法として応用行動分析(applied behavior analysis:ABA),早期集中行動介入(early intensive behavioral intervention:EIBI)をはじめとした個別の行動・教育介入プログラムが,本人や家族の生活にプラスの影響を与える可能性があるという認識が広まってきている。一方で,ASD者の評価,支援は熟練の専門家にしかできず,また莫大な時間やコストが必要なことは社会的課題となっている。これらのプログラムを有用化するための技術開発を目的とした研究が始まっている。ASD者は最新の科学技術への興味が高いことから,ロボット,バーチャルリアリティ(VR),インタラクティブ3次元モデリングシステムなどを用いた支援には期待が高まっている。診断・評価については人工知能(AI)の機械学習を用いたスクリーニングに注目が集まっている。本稿では,筆者が現在までとくに力を入れてきた機械学習を用いたスクリーニング,VRおよびロボットを用いた支援の最新の動向,今後の課題について概説する。
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