特集 発達障害への多様な支援~あれが知りたい・これも知りたい~
最近のトピックス
環境化学物質と発達障害
黒田 洋一郎
1,2
,
木村-黒田 純子
1,3
KURODA Yoichiro
1,2
,
KIMURA-KURODA Junko
1,3
1環境脳神経科学情報センター
2元・東京都神経科学総合研究所,分子細胞神経生物学部門
3元・東京都医学総合研究所,こどもの脳プロジェクト
pp.1088-1092
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000266
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はじめに
近年,欧米や日本では,自閉症スペクトラム障害(ASD),注意・欠如多動性障害(ADHD),学習障害(LD)など発達障害児の急増とその原因に注目が集まっている。文部科学省の報告によると,この10~20年の間に,発達障害児が急増していることは明らかである。この急増は,診断基準がDSM-5に変更されたことや,親が早期に医者に連れて行くこともかかわっているが,それだけでは説明がつかない。脳の発達において,遺伝情報が基盤であることはいうまでもなく,発達障害発症に遺伝要因がかかわっている。しかし,日本人全体のような集団で,数十年という短期間に遺伝子変異が起こることはありえない。急増の原因はほかの要因,つまりなんらかの環境要因が関与していることが強く示唆される1)。
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