特集 プライマリケアにおける単純X線検査―ここまで読影することができる
胸部:概論
見落としにくい読影の流れ―乳幼児を中心に
松木 充
1
MATSUKI Mitsuru
1
1自治医科大学とちぎ子ども医療センター小児画像診断部
pp.400-409
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000087
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はじめに
成人の胸部X線写真の読影について,佐藤雅史先生が考案した小三J読影法1)は簡便かつ見落としの少ない方法としてわれわれ画像診断医の間で広く伝わった。その方法は,簡単に説明すると,胸部X線写真を小・三・Jという文字をなぞるように目線を動かして読影すると見落としが減るという方法である。「小」は気管と肺尖を観察,「三」は肺野を左右で比較,「J」は左右肺門から大動脈に沿って下降し,両側横隔膜の裏を観察する。しかし,これは成人で見落としてはいけない肺癌を意識した読影法で,そのまま小児に活用できるかというとなかなか難しい点がある。そもそも小児は撮影時の姿勢や呼吸状態がさまざまで,成人のような吸気十分な正面像で撮られていないことが多く,乳児の多くは背臥位で撮影され,胸水やエアーリークの見え方も異なる。しかし,小児の胸部X線写真で見落としを減らすために,ある程度系統立てて読影する必要がある。本稿では,主に系統立てた読影について考えたい。
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