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はじめに
早期母子接触(early skin-to-skin contact:STS)とは,正期産新生児を出生直後から母親の胸部に直接肌と肌で接触させるケアを指す。これは,NICUにおいて早産児を対象に行われてきた「カンガルーケア」とは本来異なる概念であり,安全性に対する認識を高めるためにも,正期産新生児に対する分娩室での皮膚接触は「早期母子接触」として区別している1)。早期母子接触は,母子愛着形成の促進,母乳育児の確立をはじめとして多面的な有効性が示されてきた。一方で,出生直後は胎内循環から新生児循環への移行期であり,呼吸・循環動態が不安定な時期である。卵円孔や動脈管が開存し,寒冷刺激,低酸素,アシドーシス,低血糖などの影響を受けやすく,STSの実施の有無にかかわらず急変が起こりうる時期である。よって,STSをする場合の管理体制やモニタリングについては十分な基準整備が必要である。Poetsらが報告した前向き疫学調査では,出生24時間以内の突然死の発生率は10万出生あたり2.6例,死亡は1.1例であったと報告している2)。その半数以上が生後2時間以内に発生しており,STS中の発生であった。機器モニタリングは使用されておらず,最後に「元気」と確認されてから発見までの時間中央値は15分と短時間で急変していた。これにより,人的見守りだけでは不十分であり,STSには機器モニタリングと両方必要であることが示されている。日本の全国調査においては,STS実施施設の多くで基準整備や状態記録,機器モニタリングが十分に行われていない実態が明らかにされている3)。したがって,早期母子接触は「有効性が証明されたケア」であると同時に,「出生直後という高リスク環境下で行われるケア」であることを常に意識する必要がある。その安全性は,STSそのものの是非によって決まるのではなく,いかに適切な観察とモニタリング,明確な基準,組織的な管理体制のもとで実施されているかによって左右される。
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