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はじめに
18トリソミー(症候群)は有病率1/3,500〜8,500人とされ,Down症候群に次ぎ頻度の高い常染色体異数性異常症である。最初に新生児科を目指し,その後遺伝科を専門にすることになった小児科医として,18トリソミーのある子ども(18トリソミー児)の自然歴構築とそれに基づく管理方針の確立をライフワークとしてきた。18トリソミー児との出会いは,ある地域総合病院での研修医時代である。当直帯に気管挿管で蘇生した低出生体重児について,上司からは蘇生が正解であったか微妙なニュアンスの言葉が聞かれた。管理を任され,「通常の重症児のように」,NICU管理,先天性心疾患への抗心不全療法,丁寧な看護ケアを行ったところ,1年近く生存し,緩徐であるが確実に成長・発達した。両親は愛情深く児を受け止めていた。そうした手応えとは異なり,周産期・新生児関連学会では「蘇生しない疾患,看取りが大事」とのメッセージが目立っていた。その後,研修医として勤務した長野県立こども病院新生児科では,18トリソミー児に対して,厳しい予後の情報提供を行いつつ1日でも長く生きられるよう,可能であれば退院できるよう消化管手術を含む積極的治療と丁寧な看護ケアが行われていた。18トリソミー児に対して酸素と経管栄養のみの方針であった別の小児専門病院では,「現在行っている以上の治療は提供しない」方針で,無呼吸発作を頻発しても治療やケアは行われていなかった。大学病院で出生前診断を受け「蘇生はしない」と意思決定されたケースを担当した別の地域総合病院では,娩出した児の心拍が低下していくのをただ眺めている他なかった。「看取りの医療」といえば聞こえはよいが,希望のない分娩のつらさを妊婦とともに経験した。

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