特集 命をめぐる「話し合い」のガイドライン
子どもの「最善の利益」とは何か
18トリソミーの児とその家族へのケアから学んだ「話し合い」の大切さ
近藤 喜子
1
,
原 愛由美
1
,
林 美延
1
,
古田 紀子
1
,
山本 智美
1
1聖母病院
pp.511-516
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100753
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はじめに
当院は,新宿区にあるカトリック精神を基本とした総合病院である。出産数は年間1800件程度あるが,高次医療機関ではない。そのため,妊娠中に18トリソミーなどの重篤な疾患を疑う所見があれば,高次医療機関へ依頼し,精査のうえ確定診断を行なっている。そしてどの病院で出産するかを患者側に決めてもらうこととなる。当院での出産を決定した方には,当院での最善と考えている治療を提供することが前提とされている。
当院産科の生命倫理規定には「胎児診断による妊娠継続の適否及び奇形児,異常児出産後のアフターケアについて」の定めがあり,医師と看護者が話し合いをもつよう努力すること,家族へのフォローアップを十分にすることが謳われている。
今回,筆者らは妊娠中に18トリソミーと診断され,当院にて出産したKさんと,3日後に亡くなられた新生児,そしてその家族とのかかわりから,医療者間,患者・家族と医療者との話し合いの重要性について考察したいと思う。
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