特集 周産期における生命倫理を考える
着床前遺伝学的検査
PGT-Mの対象疾患に関する議論のポイント 日本神経学会
柴田 有花
1
,
矢部 一郎
1
SHIBATA Yuka
1
,
YABE Ichiro
1
1北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野神経内科学教室
pp.63-66
発行日 2026年1月10日
Published Date 2026/1/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002565
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はじめに
脳神経領域の疾患においては,従来有効な治療法が存在しない疾患が多かったため,わが国では重篤な小児期発症の遺伝性疾患で着床前遺伝学的検査(PGT-M)が考慮される場合があった。2022年の見解改定後には,成人期以降に発症する疾患についてもPGT-Mの対象となる可能性が出てきたが,その際,重篤性に関する判断は主要な論点となる。近年,疾患修飾療法(disease-modifying therapy:DMT)開発が進捗し,脳神経疾患も「治らない病気」から「治る病気」へと変化しつつあることを十分に考慮すると,PGT-Mの適応判断の一つである「現時点で疾患を回避するための有効な治療法の有無」に対する医学的判断は,最新の知見に基づき更新していく必要である。さらには,このような医学的判断をふまえたうえで,個々のカップルの状況や事情を考慮することも重要となる。

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