綜説
麻酔薬の神経毒性に関する議論
斉藤 仁志
1
,
内田 洋介
1
,
森本 裕二
1
1北海道大学大学院侵襲制御医学講座麻酔科・周術期医学分野
キーワード:
麻酔薬
,
神経毒性
,
アポトーシス
,
発達期
,
学習障害
Keyword:
麻酔薬
,
神経毒性
,
アポトーシス
,
発達期
,
学習障害
pp.1349-1355
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000000202
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麻酔薬は手術室や集中治療室のみならず,小児では検査時にも頻用される,現代医療に不可欠な薬剤の一つであるといえる.ところで,この麻酔薬が発達期の脳神経細胞に長期的な毒性をもたらすかもしれない,という議論はご存知だろうか.₁₉₉₀ 年代に麻酔薬が幼若神経細胞のアポトーシスを誘導し,さらに成長後の学習記憶能力を低下させることが報告され,₂₀₀₀ 年代にはヒトに関する後ろ向き研究でも同様の結果が示された.これを受けて米国を中心とした麻酔薬の神経毒性に関する前向き研究が開始され,₂₀₁₆ 年にはその中間結果が報告されたが,麻酔薬が発達期神経細胞に与える神経毒性の議論はいまだ結論が出ていない.本論では,その歴史と今後について概説する.
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