特集 周産期における生命倫理を考える
着床前遺伝学的検査
PGT-Mの対象疾患に関する議論のポイント 日本人類遺伝学会,日本遺伝カウンセリング学会
江川 真希子
1
,
吉田 雅幸
2
EGAWA Makiko
1
,
YOSHIDA Masayuki
2
1東京科学大学大学院医歯学総合研究科医歯学専攻寄附講座血管代謝探索研究部門・遺伝子診療科
2東京科学大学生命倫理センター遺伝子診療科
pp.60-62
発行日 2026年1月10日
Published Date 2026/1/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002564
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はじめに
従前は,出生前遺伝学的検査(以下,出生前検査)や着床前遺伝学的検査(以下,着床前検査)といった胎児や胚に関する検査は産科領域の問題であった。産婦人科医以外の遺伝医療の専門家が関わることもあったが,多くは「疾患をもつ子が生まれた場合」の病状予想やケアの相談としての関わりが主であったと思われる。しかし,出生前検査や着床前検査が日本社会において広く知られるようになり,また検査を検討するカップルが増えてきたことから,産婦人科以外の遺伝医療の専門家にとっても無関係のこととはいえなくなった。単一遺伝子疾患を対象とする着床前検査(preimplantation genetic testing for monogenic disorders:PGT-M)も,実施承認を求めて日本産科婦人科学会(以下,日産婦)に申請される疾患は種々にわたるようになり,2022年日産婦はPGT-Mに関する新見解を発出した。これにより日産婦内の審査だけではなく,今までに審査例のない症例や審査が困難な症例については関連学会の意見書が求められることとなった。つまり産婦人科領域を専門としない遺伝医療の専門家,対象疾患の診療にあたる小児科医や神経内科医なども申請された疾患が「PGT-Mの適応になるかどうか」を考えざるをえなくなったのである。

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