特集 これならわかる性分化疾患
初療・診断
遺伝カウンセリング
小川 昌宣
1,2
,
万代 昌紀
1,3
Masanobu Ogawa
1,2
,
Masaki Mandai
1,3
1京都大学医学部附属病院遺伝子診療部
2京都大学医学部附属病院倫理支援部
3京都大学大学院医学研究科婦人科学・産科学
pp.1310-1314
発行日 2023年12月25日
Published Date 2023/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000661
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はじめに
性分化疾患(disorders of sex development:DSD)は精巣・卵巣や性器の発育が非典型的な状態である。中核症状は出生時の外陰部異常であるが,広義には二次性徴の発来異常を含む。その原因は多岐にわたり,遺伝カウンセリング(genetic counseling:GC)は一律ではない。そのため本稿では遭遇する時期に応じた対応の記述を試みる。GCを通じて疾患の発生機序と再発リスク推定のための病歴・家族歴を聴取する。GCを行うにあたっては,診療担当科医師と打ち合わせを行って,診療内容や治療方針について事前に確認しておくべきである。また性別を考えるうえでは,性決定の発生学的過程に沿って染色体の性,性腺の性,性特異的分化と表現型の性(内性器・外性器)があること,さらに社会学的観点から性自認,法律上の性を加えた「6つの性」を意識することが重要1,2)である。臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーは遺伝に関する専門職であるが,GCは専門職のみが行うというものではなく,診療に関わるすべての関係者が遺伝カウンセリングマインドをもって患者・家族に接することが望まれる。
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