特集 周産期の薬物療法 update 2025 新生児編
各論
低酸素性虚血性脳症(脳浮腫治療薬)
津田 兼之介
1
,
岩田 欧介
1
TSUDA Kennosuke
1
,
IWATA Osuke
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科新生児・小児医学
pp.1089-1093
発行日 2025年9月10日
Published Date 2025/9/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002289
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はじめに
新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)は,周産期における脳への酸素と血流の不足によって引き起こされる重篤な病態である。HIEの発生頻度は1,000出生あたり1〜3例とされ,生存児の約25〜60%に脳性麻痺,発達遅延,てんかんなどの永続的な神経学的後遺症をもたらす。現在,HIEに対する唯一エビデンスの確立された治療法である低体温療法は先進国においては広く普及し,予後改善に一定の効果を示すものの,その有効性は限定的であり,死亡または後遺症のリスクを11%(58→47%)低下させるにとどまっている1)。

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