特集 ちょっと気になる妊婦・胎児
母体編:妊娠中
妊娠中の子宮頸癌細胞診結果がASC-US,LSIL,またはASC-H
長井 智則
1
NAGAI Tomonori
1
1埼玉医科大学総合医療センター産婦人科
pp.503-506
発行日 2025年5月10日
Published Date 2025/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002134
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はじめに
近年の女性の晩婚化・晩産化により,子宮頸癌の好発年齢と妊娠年齢が重なる傾向にある。わが国における子宮頸がん検診受診率は約40%と世界的にみても低水準であるが,一方で妊婦健診の受診率は99%と非常に高い。このような背景のもと,厚生労働省は2009年に妊婦健診時に公費負担で行われることが望ましい検査として妊娠初期の子宮頸がん検診(子宮頸部細胞診)の実施を通知した。また,『産婦人科診療ガイドライン2023』1)でも妊娠初期の子宮頸部細胞診の施行を強く推奨している。これにより多くの市区町村で妊婦健診時に子宮頸がん検診が実施されるようになり,2022年の厚生労働省による調査では93.7%の市区町村において妊婦健診時に公費負担による子宮頸がん検診が実施されていた。妊娠中に施行される子宮頸がん検診数が増加したことにより,必然的に子宮頸部細胞診異常を認める妊婦の実数も増加しているため,妊婦健診を担当する周産期医は妊娠中の子宮頸部細胞診異常の特性を十分に理解し,適切に対応しなければならない。

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