技術講座 病理
ASC-USとASC-Hの問題点
伊藤 仁
1
,
加戸 伸明
1
,
宮嶋 葉子
1
1東海大学医学部付属病院病理検査技術科
pp.989-993
発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103331
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はじめに
わが国の子宮頸部細胞診の細胞診判定にはPapanicolaou分類をもとに考案されたクラス分類(日本母性保護医協会分類:日母分類)が長年用いられてきたが,海外においては1988年に作製されたベセスダシステムによる細胞診報告様式が採用されて以来,クラス分類は使用されなくなってきた.このような情勢のなか,2008年,わが国においても子宮頸がん検診にベセスダシステム2001準拠細胞診報告様式(表1,2)1)が採用されることが日本産婦人科医会で決まった.
その決定から数年,日本産婦人科学会や日本臨床細胞学会でその現状や問題点,“意義不明な異型扁平上皮細胞(atypical squamous cells of undetermined significance,ASC-US)”や“高度扁平上皮内病変(high grade squamous intraepitherial lesion,HSIL)を除外できない異型扁平上皮細胞(atypical squamous cells cannot exclude HSIL,ASC-H)”の細胞像についての報告やシンポジウムが盛んに催されるようになった.このような状況のなか,本稿では,ベセスダシステムのカテゴリーの一つであるASC-USとASC-Hについて現状と問題点を中心に記述する.
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