特集 ちょっと気になる妊婦・胎児
母体編:妊娠中
卵巣に囊胞を認める
松岡 隆
1
MATSUOKA Ryu
1
1昭和医科大学医学部産婦人科学講座
pp.499-502
発行日 2025年5月10日
Published Date 2025/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002133
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はじめに
妊娠中の合併疾患に対する治療方針は,その疾患の適応に準じて行うことが基本となる。妊娠中だからと治療介入の機会を逸し,増悪して母体へ悪影響を及ぼすことになってしまっては本末転倒である。妊娠に合併した卵巣腫瘍の頻度は全妊娠の1~4%といわれ,そのうち2%程度が悪性腫瘍である1)。妊娠中に卵巣腫瘍を認めた場合,婦人科診察同様,まずは良悪性の評価が重要となる。また,妊娠中の卵巣の観察方法は妊娠時期によって異なる。わが国においては,妊娠初診週数が比較的早く,経腟超音波検査による卵巣の評価がしやすい。妊娠中期以降になると小骨盤腔は妊娠子宮で占拠されてしまうため,超音波検査による卵巣評価が困難になってしまう。よって,妊娠中の卵巣評価は妊娠初診〜第1三半期に行うとよい。

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